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2013年4月 2日 (火)

飲酒運転とアルコール依存症

 

みなさんこんにちは。4月になりました。

新入学生のみなさん、新社会人のみなさん、

わくわくドキドキの門出ですね。いい出会いがありますように!

 

明るい話題も多い中、旧年度最後に起きたニュースについて、

お伝えしないといけません。

 

先日、アルコール依存症の治療を行っていた福岡市の職員が

飲酒運転して自損事故をおこし、逮捕されました。

 

福岡市は、昨年、職員の飲酒に絡む不祥事があいつぎ、

市長により「禁酒令」が発令されたことでも全国的に話題になり、

再発防止策も行われていたといいます。

 

そんな中での今回の事件、これだけ注目されていたにもかかわらず

なぜ防げなかったのか。

多くの人が疑問に感じることだと思います。

 

昨日、当院にも、NHK福岡放送局の方が取材に来られていました。

 

 Photo

 

NHKの記者からの

「今回、容疑者はアルコール依存症の治療を行っていました。

 にも関わらず、飲酒運転をしてしまった。どうして起きたのでしょうか」

との問いに、飯田信夫院長は 

 

「一番は、本人の自覚の問題だと思います。

 それと、(報道にある入院治療)期間が2か月というのが少なかったのかも。

 少なくとも、3か月は入院する必要があったかと。

 断酒をして、3か月以内に半分の人が再飲酒します。

 だから、通院とともに、断酒会に入ったり、家族や上司の協力も必要です」

 

また、アルコール依存症者が断酒中に、飲みたくなる状況についても

空腹や怒り、孤独、さびしさという心理的な要素と、

お金を持ったとき、冠婚葬祭などの席という状況的な要素があるので、

そういった状況を作らないようにする必要がある、ということも話しました。

 

再発防止のために、できることについては?という質問には、

「非常に難しい問題ではあるが、まわりのサポートがやはり重要で

 上司や家族が、まずは専門家や保健所、断酒会などに相談してほしい」

と答えました。

 

 

なぜ、この期に及んで、飲酒運転をしてしまうのか?

ふつうの感覚からしたら、理解しがたいことです。

 

そこに、アルコールが脳に及ぼす影響の怖さがあります。

大量に飲酒すると、「ふつうの感覚」でいられなくなるからです。

 

以下に、脳の断面図があります。

  

 Photo_3

 

飲酒すると、まず大脳の一番外側(オレンジ色)が麻痺してきます。

ここは、大脳新皮質といって、”理性”をつかさどる場所です。

すると、緑色の部分(大脳辺縁系)への抑制がゆるくなります。

この場所は、いわゆる”本能”や”感情”を管轄するところです。

 

いい気持ちになったり、他の人と打ち解けやすくなったり。

いわゆる ほろ酔い です。

 

もっと、多量に飲み続けると、どうなるでしょうか。

アルコールが、緑の部分に、より強く影響をするようになります。

 

気が大きくなって、自分がなんでもできるような気分になったり、

感情の起伏が激しくなったり、他者とトラブルを起こしたり、

ふつうの感覚であれば、よくないとわかっていることでも、

欲求のままに行動をしてしまうこともあります。

 

この状態が、飲酒運転をしてしまう危険が、もっとも高まります。

 

アルコール依存症になると、一度に多量のアルコールを摂取するので

脳に及ぼす影響が、より強く出ることになると考えられます。

 

また、一度依存症になると、一生、治ることはありません。

今回のように治療中であっても過信せず、”再飲酒した場合”を想定し

より踏み込んだ対策を講じる必要があるのです。

 

そのために重要なのが、まわり(家族や職場の上司など)のサポートです。

具体的な対策について、院長に聞きました。

 

「たとえば、家族や上司がアルコールチェッカーなどをつかって、

 車を運転する前に確認させ、もし基準を超えていたら車のカギを渡さないなど

 ときに厳しい対応をすることも必要でしょう」

 

そうしたサポートも難しいときは、やはり専門的な治療の必要があります。

断酒会という、心強い味方もあります。

 

今回の事件は、とても残念であり、憤りを感じる人も多いことでしょう。

ただひとつ救いは、その車で人を傷つけることがなかったこと。

 

逮捕された職員は、懲戒免職処分となるそうです。

しかしその当人の人生は、今後も続きます。 

あきらめずに治療を続け、依存症を克服されんことを願ってやみません。

 

あなたの身近に、飲酒運転を繰り返す人はいませんか?

アルコール依存症が疑わしくはありませんか?

 

保健所、専門病院、断酒会。受け皿は、いくらでも、あります。

悲しい事故を起こしてしまう前に、相談することから、始めましょう。

 

 

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